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書き溜めた歌詞の倉庫。もしかしたら曲をつける日がくる…かも。 重音テトの曲を作っています→http://www.nicovideo.jp/mylist/18143950
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【言い訳】

これは夏季休暇中の著作権法の授業のレポートとして提出したものを加筆修正したものです。
筆者こと双葉屋ほいるもといなまはげPは一応法学部に通っておりますが、正直単位ギリギリのいわゆる「法が苦部」生であることを述べておきます。全体的に内容が穴だらけかと思われますので、UTAU関係の識者の方にいろいろとご指導頂ければと思います。
また、せっかくテーマに取り上げたので、これを機に自分もUTAUの周りの法律関係のことをもっと勉強していけたらな、と思っています。

そのうち、内容をレポート形式ではなくもっとわかりやすい普段の言葉で書き直して公開したいです。

1.はじめに
 近年、インターネット上で歌唱用音声合成エンジンやこれを用いて歌唱させた曲が話題になっている。現在その先頭に立っているのがヤマハ株式会社(以下ヤマハ社)により開発された「VOCALOID」や、これに使用する音声ライブラリに声優の声を採用したクリプトン・フューチャー・メディア株式会社(以下クリプトン社)の「キャラクター・ボーカル・シリーズ」である。特にシリーズの火付け役となった製品が音声合成ソフトウェア「初音ミク」であるが、動画サイト等での人気が上昇していくにつれて一つの疑問が生まれた。すなわち「初音ミクの著作権はどうなるのか」という問題である。
 一方、VOCALOIDとは別に、動画サイト等で話題を呼んでいる歌唱用音声合成エンジンがある。飴屋/菖蒲がVOCALOIDの影響を受けて開発し、2008年3月に配布を開始したフリーソフト 「UTAU」である。VOCALOIDとの決定的な違いは無料であること、そして何より「音声ライブラリを個人で制作し、また配布することが出来る」点である。しかしここでもまた、ユーザ間でUTAU用音声素材の著作権の扱いについて議論が生まれている(かくいう私もUTAUユーザの一人である)。
 このレポートでは、合成音声としての「初音ミク」とクリプトン社の対応を例として、またそこから発展したUTAU用音声素材の著作権の扱いについて検討していきたい。

2.「初音ミク」とクリプトン社の対応
「初音ミク」の販売元であるクリプトン社代表取締役の伊藤博之は2008年3月17日に財団法人デジタルコンテンツ協会によって行われた「進化するコンテンツビジネスモデルとその収益性・合法性」セミナーにおいて著作権の対応についての講演を行っている。その報告書から、クリプトン社の考えをまとめてみた。
 クリプトン社は「初音ミク」の著作権について、絵や商標などの「キャラクター」と合成音声を使用する権利を別々に分けて考えている。後者はまた、使用許諾契約書において2つのケースを前提に考えられている。すなわち、いかなる場合においても禁止となるケース、そして使用許諾契約をクリプトン社及びヤマハ社と結ぶことで使用可能になるケースである。これに、自由に使用できるケースを合わせると3つのケースが考えられることになる。これら3つのケースはそれぞれ以下のようになる。
・いかなる場合においても禁止となるケース:公序良俗に反する歌詞を含む合成音声を公開する場合や、第三者の人格権を侵害する音声合成
・使用許諾契約をクリプトン社及びヤマハ社と結ぶことで使用可能になるケース:商用のカラオケコンテンツの中で合成音声を使う場合、電話の着信音等に使う場合、キャラクターをアーティストとして表に出す場合
・自由に使用できるケース:それ以外
また、伊藤は講演において以下のように述べている。
この製品事(〔ママ〕)体は音楽をつくるソフトウェアですので、ユーザが創った音楽を、商用を含めてご本人が売るということは特に問題はございません。ただし、キャラクターとしての歌声や、二次創作を含めたイラストレーションを使う場合には弊社に事前に許諾をとっていただく必要があると考えています。
このことから、合成音声自体の使用に関しては音楽のボーカル及び一楽器として「初音ミク」を使用する場合を除く商用利用が、使用許諾契約をクリプトン社及びヤマハ社と結ぶことで使用可能になるケースになるのではないかと考える。
 加えて、同セミナーのパネル討論にて東京平河法律事務所の小倉秀夫弁護士が、「初音ミク」の元になった音声の提供元である声優・藤田咲とクリプトン社が取得しうる著作権法上の権利について触れている。クリプトン社については、音素の収録について著作権法上はレコードを作成するということになり、レコード製作者としての著作隣接権を取得する旨を述べている。また、藤田氏については、音素収録時に演じていると言えるような態様で歌を歌っていれば実演家としての隣接権の対象となる旨を述べている。これに関しては、ただ機械的に声を発声するのではなくキャラクターの声を演じながら収録されたものであるから、実演家としての権利保護がなされると考える。

3. UTAU用音声素材の著作権
3-1.「UTAU」とは
 以上の「初音ミク」の例から、UTAU用音声素材の制作者が取得しうる著作権法上の権利について検討していく。その前に、簡単にUTAUというツールと音声素材の制作について簡単に触れたいと思う。
 歌唱用音声合成エンジン「UTAU」は、サンプリングされた音声ライブラリ(これを原音ファイルセットと呼ぶ)をピアノロール上で組み合わせて歌唱させることができるソフトである、原音ファイルセットには主に収録された音素ファイル(「あ」や「か」など1音ずつ音素が収録された単独音、「あいうえお」など数モーラを連続して発声した音素が収録された連続音などがある)、そして音声合成の際に音素同士の重なりなどを調整するための原音設定表(oto.ini)が最低限入っている。また、音声素材の制作は音素ファイルの録音と原音設定表の作成を以て行われる。慣行としては、これに利用規約を同梱している場合が多いが、大半が個人で制作しているものであるため簡単な約束事を書き留めておくだけにとどまるものからしっかりとした条文が組まれているものまで様々である。近年は企業が制作していたり、コンピュータ情報誌の付録として添付されていたりと個人の枠を超え始めている。加えて、ほとんどが前述した「キャラクター・ボーカル・シリーズ」のようにキャラクター性を持っており、男性や幼い少女、時には無生物などをイメージした様々な音声ライブラリが製作されている。

3-2. UTAU用音声素材の著作権
 さて、UTAU用音声素材の制作者が著作権法上どのような権利を取得しうるかについて、音素ファイル、原音設定表の順に検討していく。また、利用規約が著作権法上どのような役割を果たしうるかについても触れていきたい。

3-2-1.音素ファイルについて
 まずは音素ファイルについてどのような権利を取得しうるかについて検討する。上で挙げた「初音ミク」の例から、制作者は実演家及びレコード製作者の著作隣接権を取得しうると考える。制作者はキャラクターを演じることが多く、これは著作権法2条1項3号の実演に相当する。また、音源をハードディスク上に固定することで音素を収録することから、2条1項5条のレコードに相当する。
一方、これが2条1項1号の著作物に当たるかはこれを「音楽」ととらえるかいわゆる「フォント」に近いものととらえるかで変わるように思う。私見としてはゴナ書体事件判決(最一判平成12年9月7日民集54巻7号2481頁)と同様にこれ自体が「サウンドフォント」であり芸術性・創作性を有するのは難しいのではないかと考える。ここで著作物であるとした場合、似たような声色の音声素材を収録することが著作権の侵害となり、音源制作の発展の可能性を阻害すると考えるためである。
 よって、著作隣接権のみが成立すると考えるのが相当である。

3-2-2.原音設定表について
次に原音設定表についてどのような権利を取得しうるかについて検討する。これ自体が創作性を有するとは言いがたく、また大抵のUTAU用音声素材に付属されている原音設定表が数値以外大体同じであることから、著作物ではないと考える。これなしにUTAUで音声を合成するのは不可能だが、これ自体は著作権法上の保護を受けないとするのが相当である。そもそもこれを保護してしまえば他の音源において原音設定表を同梱することが不可能になる。

3-2-3.著作権法上の利用規約の役割
 最後に、各音源に付属されている利用規約の法的役割について検討したい。合成音声という側面から見て、利用規約には大抵音声ライブラリの法人及び営利使用に関する規定や、音素ファイル・原音設定表の再配布に関する規定が定められていることが多い。特に近年同人音楽CDの有償頒布が盛んになってきているため、営利使用の規定は大体利用規約の最初の方に書かれている(もっとも、最近は音声ライブラリ自体が多すぎて、同人音楽CDに使用されている音源は有名所のほんの一握りであるが)。これはいわゆるライセンスであり、本来なら前述した著作隣接権の一部を選択して使用者に許可するものであると考える。例えば音声ライブラリの制作者が個人の営利使用を許可するが法人は要相談にする、音素ファイル自体に加工を加えて再配布することを許可する、などの選択である。これは音源制作者とそれを利用して作曲等をする者のやりとりを円滑にする役割が期待される。特に、UTAUユーザの活動するフィールドがインターネット上に限られFace to Faceでの連絡が取りづらく、また活動者が相互ともに個人である場合が多いため、あらかじめ利用規約を準備しておくことがトラブル回避、またUTAUを用いた作曲活動の発展に役に立つのではないかと考える。これはクリプトン社が「初音ミク」の作曲等への使用に対し、基本的に自由であるとの見解を表明していることと通ずるものがある。

4.最後に
 歌唱用音声合成エンジンを用いた作曲は近年大きな盛り上がりを見せている。しかし、未だ発展途上のジャンルであり、著作権等の法的な考察はまだ進んでいないのが現状である。特に企業によって販売されたVOCALOIDとは異なり、UTAUは制作側も使用側も法律にあまり触れることのない個人が多く、ほぼ未開拓であると言っても過言ではない。だが、ほとんど誰も手をつけていないフィールドだからこそ新しく切り開いていきたいと思い、今回のレポートのテーマにUTAU音源の著作権を選択した次第である。

参考文献
・大渕 哲也, 平嶋 竜太, 横山 久芳, 茶園 成樹, 蘆立 順美(2010) 『知的財産法判例集〔補訂版〕』、有斐閣
・デジタルコンテンツ協会『デジタルコンテンツの知的財産権に関する調査研究:進化するコンテンツビジネスモデルとその収益性・合法性-VOCALOID2、初音ミク、ユーザ、UGMサイト、権利者:報告書』(2011年9月25日アクセス)
・『中の人をプロデュース - UTAU向け音源製作支援サイト -』< http://utaunhp.info/ >(2011年9月25日アクセス)
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GJ!
はじめまして。記事を興味深く拝見しました。
個人的にも声優(中の人)の有する権利は著作隣接権であると考えていましたので、
その根拠となるクリプトン社の事例を挙げてくださったことはとても参考になりました。

ただちょっと違う考えの部分もありまして。
レポート中、原音設定表について「原音設定表が数値以外大体同じであることから、著作物ではないと考える。」との見解を示されておられましたが、
音素=音声素材をUTAUに最適化するために編集するという行為は「データベースの著作物」「編集著作物」を作る行為にあたらないでしょうか?
トンチキなことを言っていたら失礼しました。

合成音声を使った創作と著作権への理解が深まることを願っています。
リューミ露花 2011/10/04(Tue)08:28:06 編集
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