うたの日「日の歌会」投句短歌一覧（４月~７月）

うたの日（http://utanohi.exout.net/）で毎日行われる「日の歌会」に投句してきた短歌をまとめてみました。

【４月】

「無理」と言う君のこわばりほどくため 柔く口づけ落とす 毎晩

やめてくれ 僕のコートのファーを取りマギー審司のまねをするのは

つややかなネイルチップの裏側に仕込む針には媚薬を少々

黒髪が好きだと君が言ったから　次の予約もカットとシャンプー

とおりゃんせ 行きはよいよい 帰り道 交差点にて君とバイバイ

列をなす制服姿は着られてて あんなんだったか僕も去年は

へその緒が切れたことすら大罪で 母はささやく「裏切り者め」

君と目があった瞬間石になる　※ただしうるさい心臓除く

半身である君と僕　このまんま合挽き肉でひとつになりたい

画材屋のカラーチャートを買いました　食べたらキレイになれる気がして

一人ずつ増える周りの花嫁が「焦がれ」で私を焼き殺すのだ

何もかも捨ててあなたに身を投げた　我が人生は丁かな？半かな？

「行なう」を「ぎょうなう」などと読んだ日に君からフォローが飛んできて、ぎゃあ

おそろいの指輪重ねてにじゅうまる 笑っていよう はなまるにしよう

覚悟しろ、今日こそ俺の燃える手でお前を家族割にしてやる！

失恋の痛みを捏ねてハンバーグ おいしくなあれ 惜しい 惜しいよ

【５月】

コーヒーの染みがハートになったから今日はあなたに愛を告げよう

ねえバファリン、いくらあなたが優しいといえど心は痛いままなの

かなしみが溢れた結果我が部屋は「大」３つ分ちらかりました

公園で男の子らが覗き込む 昔アリの巣 今はDS

この家は鬼の棲む家 温かな家庭の皮を被りわななく

「休憩」が終わり飛び出すおふたりを打ち捨てられたブラは見ていた

「ごめん」って何回言っても君はもうハシビロコウのまま笑わない

お向かいのパグの母子は親父より青くて若い兄貴になつく

「昼間からこんなことしていいの？」って のどをさらして君はほほ笑む

君の目に映った花火だけを見る 僕に夜空は広すぎるから

書き取りの練習をする　これからは貴方と同じ苗字になるから

背伸びしてキスをねだれど爪先は知ってる 君のいちごのパンツ

たんぽぽと同じ色だね一年生　跳ねて駆けだす黄色い帽子

この歌に「私」は居ない！褒められるために言葉を組んだ歌には！

もうやだよ、いっそ私をさらってよ　言えずの新幹線改札で

この恋はラムネみたいだ　しゅわしゅわと吐いては溶ける僕のため息

ウホウホホ　ウホウホウッホ　着ぐるみを脱いで煙草に火をつけ一服

「かわいい」と不意に囁くキミのことラブ・アサシンと呼ぼうと思う

【６月】

泣き虫は捨てちゃいました　たくさんのちり紙くしゃくしゃ包んでポイじゃ

後ろからメッタ刺しする　黒板を見やる背中へ無限の視線

ついててもついてなくても愛してる　たましいだけでまざりあいたい

秋の日にアゲハが空を舞いました　先生、さよなら言いに来たのね

ポトスの葉千切り透かして見る　君の手首みたいでそっとキスする

食べ頃に熟れた２つのさくらんぼ　山形生まれの双子の美人

「からあげがはくしゅしてるね！」ぱちぱちと手を叩き揚げたてを待つ我が子

あと一つシャツのボタンを外したら戻れなくなるあなたと私

億ドルの夜景のおよそ６割は家に帰れぬ社畜の光

【７月】

信号も点かぬ夜明けに渡された　河北新報号外、地獄

「ワシントン ダ・カーポ」と読む我が娘　抱く楽譜は新世界より

書き置きは「名古屋に帰る」とぬかしおり 妻の居場所は執事の館

「極上のドレッシングは愛情」と魔法をかける僕の奥さん

嫁ぎ行く従姉を送る帰り道 一人戸惑うひまわり畑

水色のラムネのビンを集めては透かす 遠くで海が聴こえる

徳利とお猪口ガラスで冷やがいい 君が美人に見える縁側

お習字の時間に筆で一閃し「ナイキ」と言って先生に出す

漂白をするたび夏とすれ違う 妻がクラスメイトだった頃