蟻地獄（short.ver）

嗚呼砂塵に飲まれるようだ


この名前など無きに等しいさ
己しか知らない名前なら
名札を付けたお偉いさんを
奇声を上げて追う百鬼夜行

苦虫噛みひれ伏す僕！

頭を踏ん付けられ
鼻がへし折れる
地底の国から出られない
汚れた早起きさん
綺麗な御寝坊さん
嗚呼砂塵に飲まれるようだ


泣いても叫んでも
御腹は満たされない
餓鬼に良く似たのっぺらぼう
憎い憎い憎い
旨い旨い旨い
鬣犬（りょうけん）蠢く蟻地獄

嗚呼砂塵に飲まれるようだ

アプラクサス（仮・制作途中）

散り散りに割れた幾色の殻は
悲しみや絶望を混ぜ合わせて
波打つ様な色であることを
人はいつ知り得るだろう

誰もが描く神を求め
碎啄（そったく）の音が天球を狩る　
嗚呼「空」がひび割れていく

殻を蹴り高く飛べ　未だ生まれぬ雛達よ
生まれ出でたゆりかごを跡形なく破り捨て
籠の外　歌う少女　物語るような声で
「鳥は神にたどり着けるのかしら？」


散り散りに割れた幾色の殻は
喜びや憧憬を混ぜ合わせた
輝く様な色であったことに
人はいつ気づくのだろう

「欲するとは欲望なのかしら？
それとも本能なのかしら？
それとも夢なのかしら？」
無邪気に笑う少女の手を
気紛れに彩る雛達の――

（以下制作中）