歌詠み（短歌・都々逸） ～2011/12/28

歌詠み用アカウント分離前のものも含め、まとめてみた。

【短歌】
マニキュアを塗って拭ってまた塗って女を探す私２２

ミリタリーコートと財布と指輪　あの地震の時に抱えていたもの

窓ガラス 両手で割れば幾千の自分の眼（まなこ）がこっちを見てる

あるはずもない他人（ひと）の目に振り向けば鏡の自分がこっちを見てる

ただ見てるまじまじ見てる粗探しをしてる私自分を見てる

左手の薬指彫る円い傷　何があっても貴方のお嫁

米粒のごとき小さな一錠が僕を夢へと引きずり落とす

行き先が夢見たものと違ってももう構わない 貴方と行こう

「おやすみ」と言って電話を切る度にぶつりと響く音が恨めし

「死にたい」と共に浮かんで消えていく震災の朝、号外１面

「生きていてごめんなさい」と思う度灯りの絶えた街並みが見える

鳥かごの雛にならむと思ひしも我の世界は膨みやまぬ

猫の耳生えたら甘えられるかな　素直に腕へ飛び込めるかな

「時間まで」腕（かいな）に君を抱きながら片手でそっと時計を止める

真夜中にブルーベリーのジャム 少し口に含めば楽になれるの

「しなやかなロープであろう」と言う君のために夜な夜な紐を綯うなう

ねむりごな 貴方の絶望する顔が見たくて私ジュリエットになる

笑笑で愛の告白した奴と ただ幸せに付き合ってます

辞書にある言葉で愛を表せず君の腕（かいな）でただないていた

君となら なんにも怖くないのになぁ 一人暮らしの床に涙す

手の中の冷めたスープとマグカップ ごめん もいちど「好き」って言って

目を潰し その手にみちびかれてただ 手の鳴るほうへ あなたのほうへ

（恋なんて）（なんてばかばかしいことを）（止まってしまえ僕の心臓）

コーヒーに溺れさせたい そうすれば電話の途中で寝落ちないでしょ？

【綺麗な都々逸】
無事かしら たまに見えると 安心するよ 大学に住む 猫の耳

いらないいらないなにもいらない あなたがいればそれでいい

寂しくなるからここで破いて 貴方を帰すその切符

(´-｀ )｡o(歌詠み企画で初めて見たが都々逸意外とおもろいな…)

中指と人差し指を唇に当て貴方のキスを思い出し

心から 愛しているよ 愛しているの 愛しているけど ひっぱたく

髪の毛を掻き分け掻き分け鏡を見つめ白髪が増えたよ苦笑い

蜜吐き 毒吐き 首筋すする すべておんなじ唇で

マニキュアの 白はアリかで わかってしまう 母と私の 世代間

このまま溶けてしまえばいいと布団被って二枚貝

人肌恋し冬の夜長に布団うつ伏せ疑似添い寝

指切るように 腹斬るように 耳にピアスの穴が開く

腹は減れども食糧もなく ４畳一間に腹の虫

保健室 「消毒液の匂いで酔った」 教諭の胸に寄りかかる

綺麗に敷いたおふとんよりもシワあるほうがあたたかい

何も塗らないトーストを食み 今日もすっぴん街を行く

うた捧ぐ 世界で一人だけの君には世界で１つのうたがいい

女子高の階段の下にiPhone置いて エッチスケッチワンtouch

手荷物をお持ちしましょう これから先は二人旅ですお嬢さん

ゑのぐまぜればもとにもどれぬ すきとほってたあのひには

「サンタはいない」とぼやく子供よ 君もサンタになれるのだ

帰りのバスの遅延表示に彼と彼女は目を合わせ

君が笑って差し出すメモに ばくが十匹 ばくがとう

雪の野原をケーキに見立て 星のキャンドル おめでとう

福でも金でもない僕だけど ついつい惹かれる招き猫

二つ重なる蛍光灯が めおとのようで嫉妬する

別離の涙でレールを書いて 端と端とに駅を建て

一度くらい 聖人偉人も思ったはずだ 「皆くたばれくそやろう」

実家に帰るバスの座席で 指輪を外す薬指

【下ネタどどいつ】
マニキュアを 塗った己の 爪をねぶって 昨日の情事を 思い出す

首筋に 唇這わせ 漏らす吐息で 理性の回路が ショートする

リップクリーム乳首に塗れば 吸い心地のよさ 上がるかな

エロ下着 ナース スク水 メイドにブルマ 「どうせ脱がす」と言う貴方

抜きつ抜かれつ突かれて突いて お先にイった子 一等賞

勃てば尺八 座れば茶臼 腰が砕けて歩けない

あわび はまぐり リア充どもめ 僕は独りで巻き貝を

けんもほろろにあしらう君の 生地を剥がして鳴かせたい

エロは匂えどちり紙ぬるぬる 我に返って嫁畳む

たつどしひかえておがんでみるも まったくたたないわがむすこ